「太かぁーウドコが入ちょんねー」
戦前建てられた古い住宅の改修中に、大工の大きな声が聞こえました。振り向くと、床下に大きな黒々とした丸太が横架していました。3尺毎にあると思っていた「大引き」は見あたりません・・・。「在来工法」ではない「伝統構法」との初めての出会いでした。構造や造作方法について驚きの連続でした。さらに驚いたのは、床下で竹は育っているし、蛇の抜け殻はあちこちと散乱しているし・・・(笑)
私は建築士です。建築士にとっては「建築基準法」がバイブルでした。古民家は「既存不適格建築物」であり、何かしら大規模な改修を加えると、「建築基準法」の洗礼(耐震方法がない・・等)により、これまでは仕方なく「解体」と言う方法を提言してきました。泣く泣く「解体」となった場合、解体屋さんの邪魔にならないように、床柱や落とし掛けだけでも部分回収し、お客様に「次回家を建てられる時、お子様が家を建てられる時は、どうかこの部材を加工して新築時にお使いになり、ご先祖様の生きた証を継承して下さい!」と手渡して来ました。
そんな中での全国古民家再生協会との出会いは、「御先祖様の残してきた思いを残してやれないか?」と言う私の願いを叶えてくれるものでした。全国古民家再生協会は《未来の子ども達の為に持続可能な循環型建築社会を創造する》と言う理念の基、古民家に対する耐震基準・公的融資をクリアー出来る技術とノウハウを持ち、空き家対策、住教育活動、技能継承をもって全国各地域で活動している唯一の団体です。
先人達が大事にしてきた鹿児島に残る良き古民家を次世代に残すために、古民家再生協会鹿児島は【先義後利】の精神で、あらためて皆様のお役に立ちたいと存じます。
一般社団法人古民家再生協会鹿児島 代表理事 西 浩隆